セントケア東京株式会社 セントケアホームお花茶屋
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) ケアマネジャー/介護福祉士 H・Iさん
小規模多機能型から訪問介護まで、トータルな介護サービスを展開するセントケア・グループは、セントケア・グループ全体のロボット事業を担うケアボット株式会社を通じ、2017年2月にグループ48施設にEnazeal株式会社『顔認証徘徊防止システム』を導入。
導入のきっかけは「グループ施設の性質上、離設徘徊のおそれがある中で、常に入居者の方々に目を向けていたが、マンパワーの限界を感じた」こと。そして「お客さまの安全をより一層図るため、以前から検討していた顔認証システムを採用した」というお話しでした。
また、Enazeal株式会社のシステムを選ばれた理由として「非接触型なのに検知のスピードと正確性が優れていること」「既存のサービス・運営、お客さまの日々の生活を変えることなく導入が行えること」という2つの大きなメリットも教えていただきました。
そして実際に『顔認証システム』を体感しているグループホーム「セントケアホームお花茶屋」のケアマネジャーさんにも、システムを使われた感想やその使い勝手など、現場からの生の声をたっぷりうかがってきました。
駅から徒歩約10分という住宅地の真ん中にあり、とても便利な場所です。外観も一般住宅のコーポマンションのような雰囲気ですし、周辺や地域にも溶け込んでいると思います。2階3階が住居スペースとなっており、認知症中重度の男性7名・女性11名の計18名の方が入居されています。(2017年8月現在)
ちなみに1階は小規模多機能型居宅介護施設です。
それぞれ皆さんのお部屋には表札もあり、個人のプライベートスペースはしっかり確保されています。また、カーテンや雑貨など、備え付けのクローゼット以外は家具も全てお客様の持参品をお願いしていますので、より自宅にいるような感覚を持ってもらえているのではないでしょうか。
移住環境も含め、スタッフの接し方も家庭的な雰囲気を大切にし、施設然としない工夫でご利用者さんがリラックスして生活できる環境づくりに力を入れています。
今年2月から導入しましたので、約半年間使用させていただいたところです。やっと慣れてきたという印象で、まだまだ使いこなせてはいないのですが、やはりとても便利なシステムだと思います。
この施設は真ん中の「フロア」という集い場を中心に、お客様の個室がグルリと設置されています。そのせいもあって曲がり角が多く、同時に死角となる場所もとても多いです。1階につながるエレベーターや階段につながる扉も見えにくい死角位置にあり、常にスタッフみんな注意して目を配っていました。
導入前はご利用者さんの負担にならない方法での見守り対策を考えて、アレコレ四苦八苦していたのですが、それがほとんど必要なくなったので本当に助かっています。
ご入居して間もないお客様は、行動心理症状が強く出ている場合があり、出来る限り一緒に行動できるよう心がけていました。
しかしそうは言っても、他のお客様の対応や、死角の多い環境の中ではどうしても気づけないことが多く、いつも神経を張り巡らせている状態で、みんな本当に大変でした。
死角になる1階へつながる扉は電子錠なので普段は簡単には出られないのですが、来客の方や配達の方が来られた際に、タイミング良く一緒にスーッと出てしまいそうになることもありました。1階のスタッフが気づいてくれたり、ホーム側の扉に「熊鈴」をつけてみたりなど、様々な試行錯誤を重ねてきました。
天井に顔認証徘徊防止システムLYKAON見守りカメラが設置されたセントケアホームお花茶屋の玄関
それまではお客さまが来られたり、料理をしていたりなど、気を許した一瞬の隙にヒヤリとした経験が何度かあり、いつも張りつめた気持ちになっていました。「顔認証システム」の導入後は、何かあるとすぐにセンサーがお知らせしてくれるので、余裕を持った対応ができるようになりました。
その他にも、認知症の方の見守りだけでなく、1階に取り付けたセンサーカメラで来客の方の顔が確認できるという機能はとても便利です。この事務所は3階なので、1階に来客が来られても遠くてわからなかったのですし、玄関でインターホンを鳴らしてくださっても、1階の誰かが先に出てしまうと、誰が来たか確認できない状況でした。
だけどこの顔認証のセンサーカメラが玄関にあるおかげで、誰が来たかの確認も3階で行なえるので、とても助かっています。
顔認証徘徊防止システムLYKAONモニタイメージ。はっきりと人物の判別ができ登録者の名前も表示される
事務所の中央に設置しているノートパソコン画面がモニターになります。うちは事務所が狭く、LAN配線の関係上ノートパソコンの置き場所は決まってしまいますが、必要であれば移動が可能なので便利です。
操作を覚えるのも比較的早かったと思います。もしも操作上のトラブルがあったとしても、スグに担当の方に連絡して相談できるのでとても心強いです。
そうなんです。困りごとがあったらすぐにリカオンさんの担当の方へ連絡をして何でも聞いています。設定などで確認があるときに駆けつけてくれてくれることもあり、小さなことでもとても丁寧に教えていただけるので、本当に助かっています。
最初にしっかり使い方のレクチャーを受けたのですが、やはり初めてのことで忘れてしまうこともあります。だけど嫌な顔ひとつせず、親身になって教えてくださったおかげで、今では使いこなせるようになりました。
導入前も後も、常にお客様のことをしっかり把握して見守ることは変わらないのですが、行動の制限や制約がひとつなくなったことがとても大きな功績だと思います。
つまり顔認証システムのおかげで、行きたいところに行ってもらいながら、安全を守れるというベストな体制になったんじゃないかな、と考えています。
認知症の方のありのままの行動を制約してはいけないけれど、安全は守る。そんなもどかしいジレンマの中でずっと頑張ってきたのですが、その部分が少し軽くなったような気がします。
お客様の気持ちも軽くなりますし、私たちスタッフ側の負担も軽くなります。両者にとって良いことだと思います。ですが、スタッフ一同「顔認証システムがあるから大丈夫」と頼りすぎることのないよう、共通意識を持っています。
これがあるから手を抜いていい、神経を使わなくてもいい、なんて思ってしまうとダメだと思います。機械やシステムは上手くつき合うと便利なものですが、頼りすぎると大切なことも見逃してしまうので、その点には充分気をつけています。
でも、「顔認証システム」のおかげで心の余裕が生まれて、お客様に接する時にも少しゆったりした気持ちになっているのかなと思います。とても頼もしいパートナーが1人増えたという印象です。
かなり鮮明に映りますので、防犯カメラとしてもとてもいいのではと感じていて、玄関外にもあったらいいのにといつも思っています。このご時世ですし、いろんな防犯対策として設置できたらいいなと。
もし万が一、お客様が外に出てしまっても、どっちの方角へ歩いていったかわかるだけで、探しやすくなりますからね。...などという意見を、いつも担当者さんにもお伝えして聞いてもらっています。
『顔認証システム』は行動心理状態が強く出ている場合でも、行動を制限せず、お客様の安全を守ることができる優れたシステムだと思っています。
私個人が思う一番のオススメポイントは、お客様の行動を制限せず、その行動から「ケアのヒントに気づけること」が一番だと思います。認知症は行動を制限すると、どんどん症状が進行していく場合があります。行動心理状態が強く出ている場合でも、お客様の行動の中に、ケアのヒントがあります。なので、お客様にはありのままの行動をして頂き、その方にあったケアを見出していきたいです。
また、ちょっとした心の余裕を与えてくれますので、人材不足の場合はなおさら心強い味方になってくれるはずです。認知症の方の意思を尊重できるひとつのツールとして、今後も広まっていけばいいなと思います。
「認知症ねっと より転載」
徘徊防止システムLYKAONは、顔認証技術を活用した新しい形の徘徊防止システムです。
認知症などに伴う入居者の無断外出、医療施設における無断離院を未然に防止します。
施設様、入居者様の安心のため、是非ご活用ください。