認知症になると、家の中や外を歩き回るといった行動が見られます。
これは「周辺症状」という症状が原因で、主な症例は不安・興奮・徘徊などがあります。
認知症患者の方は意味もなく徘徊をしている訳ではなく、「ここは自分の家ではない」と思い込んでしまい、自分の家を探しに行くように出かけてしまうケースが多いと言われています。
そして、家や施設を飛び出してしまうと途中で目的を見失ってしまい、最終的には行方不明となってしまう可能性があります。
近年では認知症による徘徊の行方不明者数がどんどん増加しており、今後も増え続ける推計が発表されているため、認知症による徘徊の問題は早急に手を打つ必要があります。
徘徊者の行方不明が増加 年間1万人規模に
平成29年6月15日に発行された日本経済新聞によると、認知症が原因で行方が分からなくなったとして、2016年に全国の警察に届け出があった行方不明者は1万5432人にまで上るという報道がありました。
この人数は4年連続で増えており、最多記録を更新し続けています。
徘徊者の行方不明は警察や身内によって98.8%は所在が確認されておりますが、現状のままでは対応が後手に回っているため、徘徊の問題を解決するのは難しいと言われています。
また、今後は更に徘徊の行方不明者が増加する可能性があるので、被害やリスクを発生させる前に、予防するための対策を行う必要があります。
2025年の認知症患者は推計700万人
厚生労働省は認知症や徘徊の問題を解決するため、「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を策定しました。
こちらの資料によると、2012年度の認知症高齢者の数は「462万人」でした。
しかし、2015年には「525万人」、2020年には「631万人」と、推計の数はどんどん増え続けています。
そして、2025年には「730万人」にまで上る推計が予想されています。
この人数は2012年の約1.5倍となる人数で、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症になる計算となります。
認知症患者が増加する原因は超高齢化社会
認知症患者が増加する原因は、「超高齢化社会」にあります。
まずは認知症高齢者数の割合を年齢別に見ていきましょう。
認知症高齢者数の割合は、70歳~74歳の間は「4.1%」となっていますが、75歳~79歳になると「13.6%」まで急増しているのが分かります。
高齢層になるほど認知症を発症する割合が高くなっており、超高齢化社会と呼ばれている日本は、「認知症患者が多い国」とも言われています。
認知症の患者が多ければ多いほど徘徊による事件や事故の発生確率は高くなるため、介護者はリスクを発生させないための対策を行う必要があります。
徘徊による事故
事例1
2007年に愛知県で、男性(当時91歳)が列車にはねられ死亡する事故が発生しました。
列車にはねられた男性は認知症患者で、「要介護4」の認定を受けており、男性を介護していた妻(当時85歳)は「要介護1」の認定を受けている状態でした。
事故は妻が目を離した隙に男性が外出して、徘徊中にホーム端の階段から線路内に立ち入り、列車にはねられたとみられています。
鉄道会社は「運行に支障が出た」として、遺族に720万円の損害賠償を請求しました。
こちらの裁判は名古屋地裁から名古屋高裁へと続き、最終的に結果が出たのは最高裁です。
名古屋地裁では鉄道会社側の請求通り720万円の賠償を命令されましたが、高裁では請求額が減額し、 最高裁では「遺族に監督義務を負わせるのは酷だ」として、遺族側の逆転勝訴となりました。
遺族側は損害賠償を支払う必要はなくなりましたが、最愛の家族を失ってしまったことに変わりはありません。
また、逆転勝訴の判決が下されるまでは、非常に苦しい道のりだったのではないでしょうか。
事例2
2014年に福岡県で、徘徊癖のあった認知症の女性(当時76歳)がデイサービスから抜け出し、その後約1.5キロ離れた畑で死亡しているのが発見されました。
女性はアルツハイマー型認知症と診断されており、2013年の12月から施設に通い始めました。
そして2014年の1月23日に、女性は施設の非常口から抜け出し、3日後に死亡している状態で発見されました。
福岡地裁は「女性に徘徊癖があることを認識していたにもかかわらず、施設職員は見守る義務に違反した。施設は職員を指導監督するべきだった。」と指摘しました。
施設側は「抜け出しても死亡までは予見できなかった」と主張しましたが、「徘徊すれば自力で帰ることはできず、低体温症で死亡することは十分にあり得る。」と結論付けました。
こちらの判決では、「徘徊中の事件や事故は介護する側に責任が発生する」ということがわかる結果でした。
徘徊を防止するための対策
このまま認知症患者が増え続ければ、家族や施設の介護者にかかる負担は大きくなる一方です。
そうなってしまう前に、「負担を軽減させる方法」で「徘徊の対策が行える手段」を検討しなければなりません。
弊社ではこれらの問題を解決するために、「徘徊防止システムLYKAON」をご提案しています。
顔認証システムで徘徊を予防
「徘徊防止システムLYKAON」は下記の手順を行うことで、認知症患者の徘徊対策が行えます。
手順1【顔情報の登録】
認知症患者の顔情報をカメラに登録します。
登録は静止画の撮影を行うだけなので、複雑なことをする必要はありません。
手順2【ネットワークカメラの設置】
出入り口に高性能カメラを設置します。
このカメラが顔認証システムのセンサーとなっており、対象者が通過するとシステムに情報が伝わります。
手順3【システムの設置】
ネットワークカメラが対象者を検知すると管理ソフトウェアに情報が伝わり、こちらのシステムが警告音と光で管理者へ伝えてくれます。
音量設定は3段階の調節が可能なので、状況に応じて設定を切り替えることができます。
手順4【アプリのダウンロード】
スマートフォンのアプリをダウンロードすることで、モバイル通知が可能となります。
管理者が警告音の聞こえない離れた場所にいても、モバイル通知の設定を行っていれば、瞬時に検知された情報を受け取ることができます。
介護者と認知症患者が安心できる環境
LYKAONは介護者と認知症患者の両者にメリットがあり、負担を軽減できるシステムです。
介護者
LYKAONを導入することで、介護者は認知症患者を監視する必要はなくなります。
また、特別な物を使用したり、行動したりする必要もありません。
更に、LYKAONは従来の赤外線センサーとは違い、顔認証システムによって対象者のみを検知することができます。
そのため、徘徊行動を検知したら管理者は即座に対象者の元へ向かうことができるので、早期発見と温かい見守りが行えます。
認知症患者
認知症患者に所持させたり、身に着けたりするような物ではないので、ストレスを与えることはありません。
また、監視する必要もなくなるため、認知症患者の方にはこれまで通りに過ごして頂くことができます。
弊社は介護者と認知症患者が共に安心できる環境を提案し、実現するためのサポートを提供しています。
製品に関するご質問やご相談などがありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。